配偶者に不倫されたら、離婚する人と離婚しない人に別れます。どちらを選ぶかは夫婦が決める事ですが、もし離婚しないで夫婦関係の再構築を目指すのなら配偶者や配偶者の不倫相手に念書を書いてもらいましょう。
念書は夫婦関係の再構築のきっかけにもなりますし、いざという時にも役立ちます。念書について、目的、書き方のポイントなど、説明していきます。
念書とは
念書は、約束した内容を記載しておく書面で、起こった事実やそれに対する反省、約束した内容などを記載します。
一般的には、片方の当事者が相手に約束した内容を守らせるために書いてもらいます。誓約書も役割としては同じです。
約束は口頭だけで行うと、言った・言っていないの水掛け論でトラブルになる可能性があるため、誰が見ても確かな書面にしておくことが効果的です。
ただし、念書には法的強制力はありません。記載されている内容が守られなかったとしても、念書があるからと言って法的な措置が直ちに取れるという物ではありません。
法的な強制力を持たないのなら書いてもあまり意味がないのでは?と思うかもしれませんが、不倫された際に念書を書いてもらえば複数のメリットがあります。
不倫の念書を書かせる目的
念書を書くことになる場面は不倫だけではなく、様々な約束事が発生する際に作成されます。
例えば、「友人間のお金の貸し借り」や「退職者に社内の情報を外部に漏らさない」などといった約束をする際にも念書を書かせることがあります。
さまざまなシーンで作成される念書ですが、不倫をされても離婚せず夫婦関係を再構築する上でも役立ちます。不倫・不貞行為があったケースで書いてもらう念書の目的について3つ紹介します。
不倫行為に対する理解と反省
不倫を行った本人も道徳的に良くない事だと知っているはずですが、それでも不倫関係に至ったのは不倫が悪い事だという認識が足りなかったからかもしれません。ならば、自分の行った行為がどれだけ周りの人を傷つける行為だったかを今一度深く考え理解し、反省をさせる事が必要です。
自らの手で念書を作成することは、不倫という不貞行為を心の底から理解し反省するいいきっかけになります。夫婦関係を再構築するために役立ちます。
不倫の再発防止
約束の内容や約束を破った時の決まりを念書という形に残しておくことで心理的プレッシャーになれば、不倫の再発防止策になります。
一度不倫をされると疑心暗鬼になって配偶者の帰りが少し遅いだけで「また不倫しているのでは?」と不安になってしまう事もあります。婚姻関係を継続するからには、もう二度と辛い思いをしたくないでしょうし、同じ過ちを犯してほしくないと思うのは当然です。
夫婦関係の再構築のためには、不倫・不貞行為の抑止力になる念書は役立ちます。
不倫の証拠として
不倫をされてもなんとか再構築を目指して夫婦関係を継続しても、一緒に生活していてやっぱり過去の不倫を思い出して許せないとなってしまうケースは出てきます。また、一度目の不倫はどうにか許せたけど、再度不倫されてしまってもうこれ以上は許せない事もあります。
その時になって、慰謝料請求や離婚をしようとしたとき、一度は不倫を認めていた配偶者でも時間が経って不倫を否認するというケースがあります。夫婦関係の再構築を目指そうとせず、最初から慰謝料請求や離婚を求めていれば自分が有利になるように話が進んでいたかもしれませんが、不倫の事実を認める人がいなくなった際、他に不倫を証明できる確実な証拠が無ければ不倫していたと証明する事が出来ず、慰謝料請求や離婚がスムーズにいかなくなることは少なくありません。
念書には前述の通り法的効力はありませんが、不倫を認める旨を記載しておけば、念書が不倫を証明できるものとして、万が一裁判に至ってしまった際に証拠として役立つ場合もあります。このケースを最初から想定して念書の準備をしたい場合は弁護士に書き方を相談しましょう。
念書に書く内容
配偶者と再構築していくならぜひ書いてもらう事をおすすめする念書ですが、どのような内容を記載しておくべきかご紹介します。※原則的に念書に法的な効力はありませんが、より正しく残したい場合は弁護士に相談されることをおすすめします。
誰宛に書いた物か
一般的に念書は約束する人が約束される人に差し出す書面となります。ですから、不倫された人を宛名にし、作成します。
不倫相手の氏名、住所、電話番号など
念書は不倫した配偶者と、できれば不倫相手の両者に書いてもらうのがベストですが、不倫相手とは顔も合わせたくないという方も多いと思います。不倫相手に書いてもらう事が難しいようであれば配偶者だけに書いてもらう事になりますが、不倫相手の事もしっかり記載させることで、不倫相手が関係を否定したとしても、最終的に相手も認めざるをえなくなります。
故意や過失で肉体関係を持ったこと
法律上、不貞行為は不法行為となります。ですから不法行為によって損害(精神的苦痛)を受ければ慰謝料請求は可能です。また、不貞は離婚の理由にもなります。
不貞行為とは配偶者がいるのに他の者と肉体関係を持つことを指しますので、念書に肉体関係があったことをハッキリと記載してもらいましょう。「付き合っていた」「浮気した」などでは曖昧なので「肉体関係があった」という事を明記しておくことが大事です。
そして、不法行為に故意や過失があって相手に損害を与えた場合、慰謝料請求の対象になりますから、故意や過失があったというのも重要な要件のひとつです。
これらを踏まえると「不倫相手は既婚者であることを知りながら(故意)、肉体関係を持った」などと記載があれば、証拠として慰謝料請求や離婚をする際に役立つ可能性があります。
後に不倫の証拠として提出する可能性がある書面となりますので、大まかに「不倫しました」という内容ではなく詳細に記すようにしましょう。
不倫の期間・頻度・性交の回数など
不倫期間の長短や回数も、慰謝料の算定に影響しますので明記しておきたい内容です。
たとえば「令和〇年□月から令和△年□月まで、毎週二人で会い、少なくても〇回の性行為を行いました」など包み隠さず詳しく書いてもらいます。
不貞行為を行った場所
不貞行為に至った場所は自宅やホテルなど様々だとは思いますが、その場所も記載しておいた方が事実がより明確になります。
約束事
不倫をした事実の他に、今後はどうするか約束事を記載します。
たとえば「今後は不倫相手と一切連絡を取らず、会いません」「今回の相手に限らず不倫はしません」などです。
約束してほしい事を書いてもらえば良いでしょう。
ただし、不可能ではない範囲内で定めるようにして下さい。
たとえば、職場内で不倫をしていたからと言って、職場での会話も完全に禁止するような約束事は現実的に不可能に近いのであまり効果がありません。
約束を守らなかった場合のペナルティ
約束をしてもらうのですから、その約束を破った時のペナルティについても決めて詳細に記しておくと良いです。
約束を守らなかった時のペナルティを定めておくことで更に「約束を守らなければ制裁を受けなければいけない…約束を破るわけにいかない」という意思が働き、約束を破ってしまいそうになった時に不倫の抑止力となります。
少し厳しめに設定しても良いと思いますが、こちらも法外な決まりにすると無効になる可能性があります。
念書の作成日、作成者の氏名、住所
いつどこの誰がこの書面を作成したのかも、必ず正確に記載します。
念書に有効期限は特にありませんが、いつからの約束であるかわかる作成日は必要です。
念書の作成場所
念書をどこで書いたのか、作成場所を記載する事も重要となります。
作成場所を記載する理由としては、その念書が自宅で二人きりで書いたものだとすると、脅迫などで無理矢理書かされたと主張されてしまう可能性があるためです。ですから、念書を書く際はカフェやファミレスなど人目につく場所で書いてもらう事をおすすめします。
不特定多数の出入りがある場所で脅迫などしていれば目立ちますから、不審に思われ念書の作成は難しいはずです。公の場所で作成されていれば脅迫されて書かされたという主張は通りづらくなります。
念書を書いてもらう際の注意点
念書を有効なものにするためには多くの内容を記載する必要があり、正しく記載しておかなければただの紙切れになってしまう可能性があります。
せっかく作成した物が無駄になってしまわないように注意が必要で、できれば弁護士に相談して書いてもらうことをおすすめしますが、ここでは念書を作成する際に注意すべき3つのポイントをご紹介しておきます。
公序良俗に反しない内容にする
不倫というひどい仕打ちに対し、つい厳しい約束をさせたくなる気持ちもわかりますが、約束の内容やペナルティの内容が一般的に考えて異常な範囲に設定してしまうと、公序良俗(民法90条)違反として、無効となる可能性があるので注意が必要です。
たとえば、「次に不倫をした際は1億円支払うと約束する」という誓約は社会的に妥当とは考えづらく、これだけで公序良俗違反とされ無効になり得ます。
内容に無理のない範囲で約束させましょう。
署名捺印も忘れずに
後々、裁判の証拠として提出する可能性があることを想定すると、署名に加え捺印してもらう事が書面に対して一番法的に効力を持ちます。捺印に使用するハンコは、シャチハタではなく印鑑登録をしている実印の方が好ましいでしょう。
念書を作成する際は、自筆で作成
念書作成の際、時短にもなるからと自分で内容をすべて考え予めパソコンなどで書面を作成し、相手からはサインとハンコだけもらえば良いと考える事もありますが、念書を作成する際は内容なども含め全て相手の自筆で書いてもらう事をおすすめします。
自分が作成した物に署名捺印を貰っても良いのですが、その場合「書面を勝手に作成され、無理矢理署名捺印させられた」と主張される恐れがあります。
また、気持ち的にも自分の手でしっかりと書いてもらった方が内容に対する理解度も深まりますので、夫婦関係の再構築を目指す場合には効果的です。
作成するからには念書の内容もしっかり理解してもらいたいので、時間と手間はかかってしまいますが、署名捺印だけでなく、内容等も自筆で書いてもらいましょう。
念書の約束を破られた場合どうする?
離婚せず夫婦関係を再構築しようと、一緒に時間をかけて念書を作成したとしても、残念ながら約束を守らない人は一定数出てきます。
約束を守らなかったらどうするかまで決めた念書を作成しておいたのに、約束を守らなかった上にペナルティの内容も履行しない人もいるのです。
しかし、念書自体には法的効力がありませんので、たとえば「次に不倫をしたら慰謝料と300万円支払う」と決めておいたのだから300万円払うように求めても、相手に支払わせる強制力はありません。
それでも、納得いきませんよね?約束を破られた時にどうするか?を考えてみましょう。
「次に不倫をしたら300万円支払います」という内容の念書を作成していたにも関わらず念書作成者が約束を破って不倫したケースとして説明していきます。
1.念書に書いたペナルティを実行する約束をしてもらう
念書の内容通りであれば、念書を書いた本人が不倫をしたとしたら300万円支払ってもらえるはずなので、300万円を払うように請求します。
請求の方法は対面で話してもメッセージで伝えてもどのような方法でも良いでしょう。
話し合いをして、決められたペナルティ通りきちんと支払う意思を示す人もいます。
支払う意思があるのなら、いつ・いくら・どのような支払方法で払うのかなどを詳細に決め、これについて約束をしておきましょう。約束を破った経歴のある相手にですから、今度は念書ではなく、できれば法的に効力のある公正証書などの形に残したいですが、法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
2.内容証明郵便で請求する
もし話し合いでまとまらないのであれば内容証明郵便で本気度を示すことがおすすめです。
内容証明郵便はいつ誰から誰にどういった内容の書面が送付されたのか郵便局が証明してくれる郵送方法です。
内容証明郵便は、「法的措置を取るつもりである」ことを表明でき、相手もプレッシャーを感じて約束を守ることを考え始める場合もあります。
また、弁護士など法のプロから内容証明が送られてくるとより効果的で、即支払の意思が見られる事もあります。
3.訴訟を提起
内容証明郵便が送られてくると「いよいよ法的措置を取られるかもしれない…」と請求に応じる人もいますが、内容証明も無視したり応じない姿勢を見せてくることもあります。
その場合は訴訟を提起し、裁判でこの念書または他の証拠を提出するなどして、不法行為による慰謝料の請求をします。
裁判所から正式に損害賠償請求が認められれば相手に支払う義務が発生しますので支払われるはずです。
それでも支払われないとなれば強制執行などの法的措置を取り給与などを差押するといったことも検討していきます。
念書自体は直接法的な効力のある書面ではないので、決められたペナルティが実行されない場合に履行させるにはこのように多くのプロセスが必要になってしまう可能性は否めません。やはり法律に関わるようなアプローチを検討する場合、頼りになる弁護士に相談することをオススメします。
探偵の浮気調査報告書があるメリット
不倫の念書は、配偶者や不倫相手が不倫の事実を認めている場合に書いてもらう事が可能な物で、不倫を認めていない場合はそもそも念書を書いてもらう事は難しいでしょう。
もし不倫を認めないのであれば、不倫の証拠を目の前に突き出し、不倫している当事者に認めさせる必要があります。
ですが、相手が不倫を認める証拠と言うのがまた難しい物で、一緒に食事している様子の写真や手をつないでいる写真、メッセージのやり取りで親密な様子などでは「これは不倫にはならない」と言い逃れされてしまう事もあります。
相手に慰謝料請求や離婚を求める際に必要となってくる不倫の証拠とは、一般的に肉体関係があるとわかる物にその価値があります。たとえば、ラブホテルに出入りする様子を撮影したものなどがあれば肉体関係があったという証拠になり、当事者たちは不倫関係であったと認めざるを得なくなります。
こういった不倫関係を証明する証拠の入手は探偵が得意としており、調査で得られた証拠は相手に不倫を認めさせる事はもちろん、探偵が調査後に作成する調査報告書は裁判でも証拠としても提出できます。
このように、探偵に浮気調査をしてもらうと
- 不倫の事実を詳細に知る事ができる
- 不倫の当事者に不倫を認めさせる事で念書を書かせやすい
- 慰謝料の示談交渉でも利用できる
- 証拠として裁判で利用できる場合がある
といった調査報告書を作成してもらう事ができ、様々な場面で活用できます。
配偶者が不倫をしている場合、再構築するか離婚するかは悩む場面ではありますが、どちらにしても有利に進めるために不倫の証拠は重要となります。
「相手が不倫を認めなさそうだ…」「なんの反論もできないような確かな不倫の証拠がほしい」という場合、調査のプロである探偵に一度相談する事をおすすめします。
まとめ
不倫をされても離婚をせずに再構築を目指すのなら念書を書いてもらうことをおすすめしましたが、理由として、
- 不倫行為に対する理解と反省
- 不倫の再発防止
- 不倫の証拠
を事例としてあげました。
相手が不倫の事実を認めているうちに書いてもらうことは重要です。
もし、認めなさそうなのであれば不倫を認めざるを得ない証拠を突き付けて認めさせた上で念書を書いてもらいましょう。
また、不倫の詳細な事実や約束事を念書に書かせておくことは、夫婦関係の再構築を断念せざるをえなくなった時に大きな保険となります。
「次に不倫をしたら300万円支払う」と確かに言っていたのに「100万円払うとしか言っていない」という水掛け論にならないように、口約束だけではなく書面に残しましょう。
念書として効果を発揮するためには記載すべき必要条項を本文まで自筆で全て書いてもらい、署名捺印も忘れず完全な形で作成しておくといいことも説明した通りです。
念書を作るのは大変であることはお気づきかと思います。でも、不倫はとても傷つく行為です。2度とあってはいけない事ですから、大変な「念書作り」を一緒に行うことで、夫婦関係の再構築を目指す目的も共有できると思います。お互いに思いやりの気持ちを持って再構築がうまくいくようにしましょう。
不倫を認めさせるような証拠がまだ掴めていないという場合は、浮気調査を得意としている当社に一度ご相談ください。初回の相談は無料です。まずは一歩行動に移すこともおすすめします。
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